湯川内温泉かじか荘への思い
かじか荘被災後⑦ 湯川内温泉かじか荘への思い
「ここの温泉は守らなければ」
そう思い、純温泉協会にて湯川内温泉かじか荘の購入を決意しました。
それは、日本屈指の最高峰の温泉のひとつだと思っているからです。
初めて訪れたのは今から18年程前。とても行きたかった温泉のひとつでした。
初めて入った時は超絶感動したことを覚えています。
その後10回程度は訪れたと思います。その内2回は宿泊しました。
なぜ、最高峰の温泉なのか。
その大きな理由は、自然湧出の温泉であり「足元湧出」の温泉であるからです。
また、その足元湧出の温泉が敷地内に2箇所もあるからです。
※足元湧出とは、浴槽の底から自然に湧き出している温泉
※温泉は空気に触れると徐々に劣化、酸化していくと言われています。
また塩素系薬剤(塩素)は酸化剤なため、これを入れている温泉は酸化されています。
足元湧出の温泉は、空気に触れる前の温泉に浸かることが出来るため「酸化されていない新鮮な温泉」に浸かることが出来るのです。
日本には日帰り温泉と温泉宿が合計約3万軒あります。その中で足元湧出の温泉施設は50ヶ所にも満たないでしょう。そんな足元湧出の温泉が1か所あるだけでも奇跡と言えるでしょう。そんな足元湧出の温泉が、かじか荘には2箇所もあります。日本屈指の「聖なる温泉」と言っても過言ではないと思っています。
日本で聖なる場所(パワースポット)と言われるところは各地に点在していますが、その最たるひとつが伊勢神宮(外宮や内宮)ではないでしょうか。私にとって湯川内温泉かじか荘の場所はある意味同様の、同等の場所のひとつではないかと思っています。
また、全国数々の温泉を体感してきた私が言える事は「良い温泉とは鮮度が高い温泉」です。温泉の泉質ではなく、温泉の質(クォリティ・鮮度)です。
そのような鮮度の高い温泉に入ると、入った瞬間に全身が感動に満たされる感覚になるようになります。全細胞が喜ぶとでも言うのでしょうか。これこそが、温泉に浸かる最大の醍醐味だと思っています。
今まで各種メディアにて温泉の話をさせて頂いてきました。また知人や友人からも温泉の質問を受けてきました。そんな質問のひとつが「日本で一番ええ温泉はどこ?」でした。これは大変答えるのが難しいのです。このような条件であれば〇〇だ、またこのような条件なら△△だ、というふうになるからです。けども一般の方にそんな事を言っても伝わらないのです。そこで、私が大好きな温泉を列挙して書き出しました。これらの中で暫定一番はどこにするか?を考えました。眺めつつ考えていると、ここだ、と定まりました。それが湯川内温泉かじか荘でした。それ以降、同様の質問を受けた際には「鹿児島県の湯川内温泉かじか荘です」と答えるようにしてきました。
このような温泉、自然のままの温泉を守って行きたい、そして多くの方に知って頂きたいために、2019年に純温泉協会を立ち上げ、現在に至っています。また、色々な場で温泉のお話をする際には「目を瞑って温泉を感じて下さい」と言うようにしています。温泉とはお湯そのものだからです。それを体感して感じて頂く事が大事だと思うからです。質の高い温泉に浸かると、きっと至福の気持ち良さを感じて頂けると思っています。そして、それをひとりでも多くの方に感じて頂きたい。それが、本来の温泉を守って行くことにも繋がっていくのではないかと思っています。
かじか荘の温泉は、2か所の温泉共に38℃~39℃程度で湧き出しています。泉質はアルカリ性単純温泉ですが、硫黄成分も含んでいるため、ゆでたまごのような硫黄由来の香りがほんのり漂っています。湯は、美しい透明であり、ほんのりブルーやグリーンのように色づいています。浴槽を見ていると時折浴槽の底から気泡がプクプクと湧き上がってきます。まさに自然そのもので、神様からの贈り物だと感じます。
そんな温泉に今は入れませんが、是非入りに来てください。そして感じて下さい。きっと、新鮮な温泉の魅力に気付いて頂けるのではないかと思っています。そして、ご一緒にこの温泉を守って頂ければ、と思っております。